大屋納豆と普通の納豆の違い
大屋納豆は伝統的な製法で作られた納豆です。
ではスーパーで売られている普通の納豆と、伝統製法の納豆の違いは何でしょう。
それはわらに包まれた見た目だけではありません。
一番の違いは、その発酵方法です。
大家納豆は天然の納豆菌で発酵させる伝統製法。
天然の納豆菌とは、わらの中にいる枯草菌の中で納豆作りに適した菌。
天然のわら中には多くの種類の納豆菌が芽胞(がほう)という固い膜で覆われた状態で存在しています。
この納豆菌が加熱した大豆の栄養分や水分、熱に出会うことで目覚めて増殖を始めます。
この多様な納豆菌が大豆の上で発酵という勢力争いをして納豆になるのです。
(大屋納豆に使うわらは煮沸殺菌しております。しかし納豆菌は熱に強い性質があり、雑菌が死滅するほど煮沸したわらにもある程度生き残っています。)
純粋培養納豆菌を使う現代の納豆が主流になったのが60年ほど前。それまで何百年もの間、この伝統製法で納豆は作られてきました。
多様な納豆菌が混在しつつ発酵するのが大屋納豆の特徴です。
枯草菌(こそうきん)・・・空気中や土壌、植物だけでなく動物やヒトの胃腸に普遍的に存在する細菌の一種。この中にいわゆる納豆菌も含まれている。
純粋培養納豆菌を使った普通の納豆
普段売られている納豆には、納豆に適した菌を選んで人工的に培養して作られる「純粋培養納豆菌」が使われています。
「純粋培養納豆菌」は選別した優秀な納豆菌だけを培養できるため、ほぼ同一の遺伝子の納豆菌を多量に生産できます。
大正10年代頃から半沢洵博士により純粋培養納豆菌の普及が始められました。
この「純粋培養納豆菌」の登場で、安定した品質で納豆を多量生産することが可能に。
そして技術はさらに進歩しています。
近年では人の手で納豆菌に変異を生じさせる、変異導入という方法も用いられるようになりました
この変異導入で短期間で特別な機能をもつ納豆菌を作り出すことが可能になったのです。
変異導入・・・納豆菌の遺伝子に変異が起こるよう人為的に働きかける手法。変異した中から、匂いが少なかったり特定の栄養素を多く生産するなど、目的に合った性質に変化した菌を探す。変異をかけるために、紫外線、変異剤、放射線などを使用することが多い。理論的には自然界でも起こっている変異だが、人の手を加えることで変異の頻度を飛躍的に高める技術。
参考文献
永 井 利 郎「納 豆 菌 の 育 種 と 遺 伝 子 操 作」日本食品科学工学会誌 第46巻 第2号 1999年2月
竹村 浩「納豆菌の育種による納豆の差別化と品質向上」化学と生物 Vol. 53, No. 11
渡辺 杉夫「納豆」農山漁村文化協会 2002年3月
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